相続って何?
相続とは、無くなった方の財産上の地位を、法律上の規定または遺言によって、 特定の人に受け継がせることをいいます。
戦前には、家督相続という嫡出長男優先の 単独包括相続が定められていました。 戦後になって、家督相続の廃止、均分相続制、寄与分制度など さまざまな改正を経て、今日に至っています。
相続制度の存在理由には、次の3つが挙げられます。
今の日本社会では、自分の生活保障は自分で行なわなければなりません。 家族(配偶者、子、親)など、無くなった方が生前に扶養していた人たちの 生活を成り立たせていくためには、財産の承継を認めなければなりません。
相続は、被相続人が死亡した瞬間に開始します。
ただ、行方不明者でその生死が判明しない時は、 失踪宣告によって、法律上死亡したものとみなされます。
自然死亡
死亡診断書や死体検案書を添付した死亡届により、 戸籍簿に死亡の日が記載されます。 死体が発見されない場合などは、官公署の死亡報告に基づいて 戸籍への記載がなされます。(認定死亡 )
失踪宣告
失踪宣告には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。
相続開始後は、民法、相続税法のほか、さまざまな手続が必要になります。 その概略を下に示します。
このころまでに納骨
遺産と債務の把握 相続を放棄するかどうか決定 相続人の確認 被相続人と相続人の戸籍謄本を取り寄せる
遺産や債務の調査 遺産の評価(相続税評価額、時価) 専門家にご相談ください
相続人となるのは、配偶者、子、父母、兄弟姉妹などで、 相続開始時に生存している人です。 ただし、これらの人々には優先順位が決められており、 全員が財産を相続できるわけではありません。 配偶者は必ず相続人になります。 ただし、婚姻届を提出していない人(内縁関係)は相続人になりません。
第1順位・・・直系卑属(子・孫・ひ孫・・・)
子は第1順位で相続人になります。 相続発生時に子が死亡していた場合、孫が相続人になります。 (代襲相続) 孫も死亡して、ひ孫がいる場合には、ひ孫が相続人になります。 (再代襲相続)
被相続人に子や孫がいなければ、父母が相続人になります。 父母がいない場合、祖父母が相続人になります。
第1順位、第2順位の相続人がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。 兄弟姉妹が死亡している場合、その子に代襲相続が認められます。 ただし、兄弟姉妹に限っては、再代襲が認められません。
相続人であっても、相続権を失うことがあります。
被相続人が、相続人から虐待されたり、重大な侮辱を加えられたりした 場合には、家庭裁判所に申し立てることによって、その相続権を 失わせることができます。
なお、欠格の場合も排除の場合も、代襲相続は認められます。 欠格者や排除者の子らは、非行とは関係がないからです。
相続開始時に胎児であっても、生まれたとみなして相続権が認められます。
配偶者が妊娠中である場合、第1順位の子がいることになり、 第2順位の父母に相続権はありません。
養子制度には、特別養子縁組と普通養子縁組があります。
特別養子縁組が成立すると同時に、実父母や血族との親族関係は終了し、 養子は養親の実子と同じ扱いになります。 したがって、養父母とその血族についての相続権は認められますが、 実父母や実の兄弟についての相続権はなくなります。 また、特別養子が死亡した場合は、養父母が第2順位となり、 実父母は相続人になりません。
普通養子は、実父母についての相続権も、 養父母についての相続権も認められます。
また、普通養子が死亡した場合は、 養父母と実父母の両方が第2順位になります。
婚姻関係にない男女間に生まれた子を非嫡出子といいます。 非嫡出子は、父または裁判所が認知すれば、相続権を認められます。 ただし、相続分は嫡出子の2分の1になります。
被相続人との間に血縁関係がない連れ子も、相続人になりません。
連れ子を相続人にするためには、養子縁組が必要です。
相続人が全員死亡していたり、血縁者がいても法定相続人として 認められない場合は、次の手順で財産分与が行なわれます。
相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務が 相続人に承継されます。 ただし、被相続人の一身に専属したものは除かれます。
被相続人の財産に属した一切の権利義務。 つまり、被相続人が有していた全財産のほか、まだ発生していない 財産上の法律関係(たとえば土地を売る契約など)も継承します。
被相続人その人にだけ帰属するもの。(一身専属権) たとえば、年金受給権や土地家屋調査士資格などです。
相続する「全財産」には、積極財産(プラス財産)のほか、 消極財産(マイナス財産)があります。
借金や住宅ローンなどの債務が典型例です。 なお、(連帯 ) 保証債務も相続します。 ただし、身元保証債務のように、あらかじめその保証額を知ることが できない債務は、特別の事情がない限り相続しません。
相続人が数人いる場合、これらの相続人がそれぞれ相続財産を 相続する割合のことを相続分といいます。
相続分には、指定相続分と法定相続分とがあります。
被相続人は、遺言によって相続分を指定できます。これを指定相続分といいます。
指定相続分は法定相続分に優先して適用されますが、法定相続人から遺留分の主張をすることが認められています。
配偶者:1/2 長男:1/4 (1/2 を2等分) 次男:1/4( 1/2を2等分)
配偶者:2/3 父:1/6(1/3を2等分) 母:1/6( 1/3を2等分)
配偶者:3/4 兄 :1/8( 1/4を2等分) 姉 :1/8( 1/4を2等分)
相続人は、原則として被相続人の財産を受け継ぎますが、 多額の債務があるような場合には、相続をしたくないということがあります。
そこで相続人は、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、 単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択することができます。
被相続人の財産(積極財産・消極財産)の全てを無条件で相続することです。 債権は相続するが債務は相続しないとか、現金は相続するが不動産は 相続しないというようなことはできません。 また、下記のような場合には、単純承認したものとみなされます。
受け継いだ資産(積極財産)の範囲内で負債(消極財産 ) を支払い、 積極財産を超える消極財産については責任を負わないという 相続の方法です。 相続財産の中の消極財産が積極財産より多いと思われる場合に有効です。 限定承認の要件は下記のとおりです。
など
相続人は、相続を拒否することもできます。 相続財産のうち消極財産が多い場合や積極財産の承継をしたくない 相続人がいる場合に利用されます。
相続放棄の方式は下記のとおりです。
相続放棄をすると、民法上、放棄した人は 初めから相続人でなかったものとみなされるため、 その子に代襲相続は認められません。 (欠格・排除の場合と異なります)